簡単そうで意外と使い分けが難しいa/anとtheを理解しよう【ここで差がつく!文法解説シリーズvol.1】
こんにちは。現役英語教師のサーです。
英語を学ぶ上で文法理解は欠かせません。みなさんも学校・塾の授業や自主学習で必ず文法の勉強をしていると思います。
ただ、文法となると堅苦しくてとっつきにくい印象がありますし、中にはややこしくて難しい文法もたくさん存在します。
ですが、複雑であればあるほど、試験の問題になりやすいという側面があります。
ということは、どんな英文法でも出題されやすいポイントを理解しながら学習すると、効率よく英文法のインプットができる上、自然と試験の点数もアップするということなのです!
しかし、やみくもに英文法学習を進めていっても、どれが「試験の問題になりやすい文法ポイント」なのか、自力で気づくことはできません。
そこで、高校英語教師10年目であり、ほぼ毎年のように高3生の受験英語指導にあたってきた私の視点から、試験問題となりやすい英文法ポイントをみなさんにお伝えしていこうと思います。
学校のテストを作っている先生たちがどんなところに目をつけて問題を出しているのか、こっそりご紹介しますね。
英文法を参考書にそって基礎から学んでいる人も、ひと通り頭には入っているがイマイチ成績が伸び悩んでいる人も、「ここで差がつく英文法」のポイントを押さえておけば、必ず実力アップにつながるはずです!
「ここで差がつく英文法」シリーズとして、今回は簡単なようで意外と難しい冠詞a/anとtheの使い分けについて説明したいと思います。
1. a/anもtheも基本は名詞の前につく冠詞
a/anもtheも「冠詞」と呼ばれるもので、その名称の通り、名詞の先頭に冠(かんむり)のように付くものです。
a/an は数えられる名詞(可算名詞)の個数がひとつのとき、その名詞の頭につけます。
発音が母音(a, e, i, o, u)で始まる名詞にはanがつき、子音(a, e, i, o, u以外)で始まる名詞にはaがつきます。
waterやmilkなどの数えられない名詞にはa/anはつかないので気を付けましょう。
waterは数えられない名詞ですので、それが入る容器、つまりコップの数で数えるようにします。
一方、the は子音で始まる名詞の前では[ðə]、母音で始まる名詞の前だと[ði] と発音します。
a/anと違って、数えられる名詞と数えられない名詞、単数形・複数形問わず、どの名詞の前にもくることができます。
2. a/an の基本
① 不特定のひとつ
「いくつもあるうちの不特定のひとつ」を指すのがa/an です。
この英文は「リンゴが欲しい」という意味ですが、リンゴはリンゴでもanがついたappleは「特定されていないリンゴ」という意味合いを含んでいます。
したがって、これを発言した人は、「なんでもいいからリンゴがひとつ欲しい」という意味の発言をしているということです。
一方で、次のような場合はa/an ではなく、theが用いられます。
the については、後の項目で詳しく説明します。
② 初めて登場する名詞につく
また、会話の中で初めて登場する語につくこともあります。
上の会話では、Aさんはペットを飼っているかどうかたずねていますので、Bさんが犬を飼っていることは知りません。
その質問に対してBさんがYesで答えて、初めて犬を飼っていることを話していますね。初めて話に出てきた「犬」に対しては冠詞のa/anがつきます。
3. the の基本
① お互いの共通認識があるもの
名詞の前にtheがつくときは、話し手にも聞き手にも特定できるものである必要があります。
つまり、お互いの頭の中で、同じものが思い浮かんでいれば、それはtheが付く名詞となるのです。
次の会話文を見てみましょう。
最初に出てくるdogは話の中で初めて登場するものなので、冠詞はa がついています。
そして、Bさんの発言で2度目に出てくる場合はお互い同じ犬を思い浮かべている状態、つまり共通認識がある状態なので、冠詞はtheがついて「(2人の間で特定された)その犬」となります。
② 状況から特定できるもの
次の( )にはa / an / the の3つのうち、どれが入るでしょうか?
ここでは「2人が同じ部屋にいる状態」という部分がポイントです。
一緒にいる状態であれば、開けたいのはどの窓なのか特定できるはずですよね。
ということは、Open ( the ) window, please. が正しい答えとなります。
このように、会話の中で初めて登場する名詞の場合も、その場の状況で共通認識があると判断できる場合は、theをつけるようにします。
もしここで Open a window, please. とすると、「どこでもいいから窓をひとつ開けて」という意味になりますね。
さて、ここからが差がつくポイントです!
✔︎ 「〜につき」のa/an
a/anは「ひとつの〜」という意味だけではありません。
「〜につき」という意味を持っています。
このa/anも名詞の前に置かれるものです。どのように見分けたらよいのでしょうか?
この意味のa/anは「(1つの)単位ごとに」というニュアンスを持ちますので、この後には単位を表す名詞が続きます。
また、ほとんどの場合、その前に数詞(数字を含む語句)が置かれます。
weekは週を表す単位で、twiceは回数を表す数詞ですね。
「一週間につき2回」つまり、「週2回」という訳になります。
ちなみに、the supermarketとなっているのは、買い物に行くスーパーマーケットが決まっていることを意味します。
a supermarket だと、「週に2回スーパーマーケットには行くけれども、特に決まったスーパーではなく、とりあえずどこかのスーパーに買い物に行っている」というニュアンスになります。
✔︎ 形容詞の前につくthe
the は名詞だけでなく形容詞(ものの様子や状態を表す語)の前にもつくことがあります。
the+形容詞=「(特定の)人々」と訳します。
「どんな人々」かは形容詞によって変わりますので、他にも色々な表現にアレンジできます。
ただし、どんな形容詞でも組み合わせられるわけではありませんので、上で挙げた形容詞との組み合わせを主に覚えておくと良いと思います。
また、文の中で用いるときは、複数扱いであることに注意しましょう。
では、練習問題です。( )を英語に直して英文を完成させましょう。
This road is for( 目の見えない人たち ).
... 「目が見えない」という意味の形容詞と組み合わせますので...
答えは( the blind )ですね。もちろんthe blind peopleでも同じ意味となります。
まとめ
a/anとtheは簡単なように見えますが、それぞれにきちんと意味があり、明らかな違いがあります。
細かいところも取りこぼしがないように正確な文法知識を身につけ、その知識にしたがって考えることができるようになれば、英語の力はぐんぐん伸びていきます。
それにはまず理解してインプットをすることが必要です。
インプットすることで、頭の中にどんどん英文法の引き出しを増やしていくのです。
最初は誰もが英文法には苦労するものですが、ひとつひとつ丁寧に理解してアウトプットも意識しながら進んでいけば、必ず実力アップにつながります。
一緒に頑張っていきましょう!